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アルミ複合ポリエチレン管 について...


管の構造

1. アルミ複合ポリエチレン管の構造と特徴


アルミ複合ポリエチレン管(以下、管という)は、アルミニウムを内層ポリエチレンと外層ポリエチレンの間に接着性樹脂を介し、サンドイッチ状にした5層構造の管である。

構造

5層パイプ構造

内装(母材)

アルミニウム層
(バリア層)

外層(保護層)

接着剤性樹脂層

耐用年数を決定する強度メンバー。
大きく分けると2種類ある。

酸素や有機溶剤(トリクロロエチレン・灯油・ガソリンなど)の管内浸透を防止し、形状保持・耐圧性能向上に寄与する。

アルミニウム層を保護する層。

アルミニウム層と両サイドのポリエチレン層を化学的に接着する樹脂層。

高耐熱ポリエチレン
(PE−RT)

アルミニウム

ポリエチレン
※(PE)

接着性樹脂

架橋ポリエチレン
(PE−X)

※ 外層(保護層)のポリエチレン(PE)には、高耐熱ポリエチレン(PE−RT)、架橋ポリエチレン(PE−X)及び高密度ポリエチレン(PE−HD)がある。


管の特徴

@ 形状保持性能

曲げ配管時に、架橋ポリエチレン管やポリブテン管のようなスプリングバック(曲げ戻し)がなく、曲げ形状を保持し施工性の向上に寄与する。

A バリア性能

アルミニウム層により、管外からの酸素透過、有機溶剤透過 (トリクロロエチレン、 テトラクロロエチレン、灯油、ガソリンなど)を防ぐ。
架橋ポリエチレン管やポリブテン管などの単層管は管内に透過する。

B 耐圧強度の向上

アルミニウム層により、実体耐圧強度(安全率)が向上する。

C 線膨張の抑制

熱伝導率は架橋ポリエチレン管とほぼ同等であるが、線膨張係数が架橋ポリエチレン管(PE)やポリブテン管(PB)の約1/5〜1/8程度で、温度伸縮がほとんどない。
架橋ポリエチレン管やポリブテン管などの単層管は温水で膨張して元に戻らず、ウォーターハンマー(水撃圧)などによって大きく動き、騒音を発する可能性が高い。
また、変形方向によっては空気が溜まり、圧力損失が大きくなる可能性も考えられる。

各配管材料の線膨張係数(例)を下記に示す。


・架橋ポリエチレン管 = 1.4〜2.3×10-4 (/℃)

・ポリブテン管 = 1.5×10-4 (/℃)

・アルミ複合ポリエチレン管 = 0.3×10-4 (/℃)

・銅管 = 0.177×10-4 (/℃)


継手の種類

(1) プレス式継手 (かしめ式継手)

  1. 欧州では70%程度のシェアを占める実績のある継手方式。
  2. 継手部を機械的にプレスし接合する方法。
  3. 止水はO-リングによる。
  4. 専用工具が必要。

    ・ 管端矯正器 ― 管の接合端部を真円に近い状態にし、内面をベベルエンド(面取り)にする。

    ・ プレス工具 ― 管と継手をプレスすることにより接合する工具。

接合例 プレス式継手(例)

プレス式継手1

管を専用パイプカッターで直角に切断

プレス式継手2

管端矯正器による真円化+面取り作業

プレス式継手3

プレス工具にて接合

プレス式継手4

・接合完了状態

プレス式継手6



(2) ワンタッチ式継手

  1. 特別な専用工具は必要なく、管端矯正器のみで簡単な接合作業。管端矯正器は、管の接合端部を真円に近い状態にし、内面をベベルエンド(面取り)にする。
  2. 継手に管を手動でワンプッシュ接合する方法。
  3. 止水はO-リングによる。

接合例 ワンタッチ式継手 (例)

ワンタッチ式継手1

管を専用パイプカッターで直角に切断後
管端矯正器による真円化+面取り作業

ワンタッチ式継手2

ワンタッチ式継手3

管を継手の所定の位置まで、手動で差し込む

ワンタッチ式継手4



(3) プッシュフィット式継手

  1. 管端にアダプターを差込みモジュールを介して接合する方法。
  2. 特別な専用工具は必要なく、管端矯正器のみで簡単な接合方法。管端矯正器は、管の接合端部を真円に近い状態にし、内面をベベルエンド(面取り)にする。
  3. 止水はO-リングによる。


接合例 プッシュフィット式継手(例)

プッシュフィット式継手1
アダプターとモジュール(2サイズ兼用 d16/d20, d25/d32)の組み合わせにより、多様のオプションが可能。

管をパイプカッターで直角に切断

プッシュフィット式継手2

管端矯正器による真円化+面取り作業

プッシュフィット式継手4

管をアダプターの所定の位置まで挿入

プッシュフィット式継手3

アダプターをモジュールに差し込むり作業

プッシュフィット式継手5



(4) スライディングスリーブ式継手

  1. 管の形状記憶性とスライディングスリーブによる圧縮を利用して止水する方式でO-リングレス。
  2. 継手部の圧力損失が極小で、継手部での流れの乱れなどが発生しない。
  3. O-リング止水の継手と異なり、システムの寿命がO-リングに支配されない。
  4. 専用工具が必要。

    ・ 拡管工具 ― 管端を広げる工具。

    ・ スライディング工具 ― スライディングスリーブを圧入する工具。

接合例 スライディングスリーブ式継手(例)

スライディングスリーブ式継手1

管を専用パイプカッターで直角に
切断後、管にスライディング
スリーブをセットし拡管

スライディングスリーブ式継手2

管に継手本体を挿入し
スライディングスリーブ圧入作業

スライディングスリーブ式継手3
スライディングスリーブ式継手4



(5) タケノコ圧入式継手

  1. 面取り不要。
  2. 管矯正不要。
  3. 止水はダブルO-リングとタケノコ山による。
  4. 抜け止めはタケノコ山と強力2重バンドによる。
  5. 専用工具が必要。

接合例 タケノコ圧入式継手(例)

タケノコ圧入式継手1

バンドを管に取り付ける

タケノコ圧入式継手2

継手をセットする

タケノコ圧入式継手3

管をセットする

タケノコ圧入式継手4

挿入する

タケノコ圧入式継手5



(6) 転造式継手

  1. アルミを変形させOリングを圧縮する止水方式。
  2. 専用工具は必要ありません。
  3. 手締めをし、接合する方法。

接合例 転造式継手(例)

転造式継手1

管端矯正器による真円化+面取り作業

転造式継手2

管の挿入

転造式継手3

保護カバーの取り外し

転造式継手4

締め込み

転造式継手5



(7) バンドカシメ式継手

  1. 抜け止めは金属バンドを専用カシメツールでカシメるだけ。
  2. カシメツールは安価な手動式。
  3. 止水はダブルOリングによる

接合例 バンドカシメ式継手(例)

バンドカシメ式継手1

管を専用カッターで直角に切断後、専用矯正器による真円化+面取り作業

手動式面取り作業

バンドカシメ式継手2

インパクトレンチ式面取り作業

バンドカシメ式継手3

専用カシメツールによるカシメ作業

バンドカシメ式継手4

専用カシメツール姿図

バンドカシメ式継手5